もみ火神事に臨む若者たち。素手による火おこしは西日本では賀露神社のみといわれています。
西日本で唯一の神事!「もみ火神事」
春祭りの御神火を採取する神事で、春祭りの4〜5日前の吉日を選んで行われます。
これは、ウツギの枝をひのき板の臼に差し込んで、素手で枝を回して火を起こすもので、約200年前から続いており、西日本では賀露神社のみに伝わる神事といわれています。
神事の担い手は、成人を迎えた男性のうち、獅子舞の舞い手に選ばれた若者たちです。まず、ふんどし姿で神前に立ち、宮司からお祓いを受けた後、神社の石段を駆け下りて、下を流れる千代川に飛び込み身を清めます。そして130段の石段を一気に駆け上がり、拝殿内で2〜3組に分かれて神事に臨みます。
神事で得られた火を使って、祭り当日に神前にお供する餅をつきます。
火は早いときは15分程度で起こりますが、長いときは3時間以上かかります。なかなか火がつかないときは、再度石段を駆け下りて川に飛び込み、禊(みそ)ぎをして再び挑みます。
こうして得られた浄火は、御神火として神前に供えられたあと、祭日にお供えする餅をつくための種火としても使用されます。
大正時代のはじめころまでは、氏子の人々が1年中の暮らしの種火として持ち帰り、大切に保存していたといわれています。