先に泣いた方が勝ち!という赤ちゃん泣き相撲。少年相撲とともに江戸時代以来の出世相撲の精神を受け継いでいます。
先に泣いたほうが勝ち!「赤ちゃん泣き相撲」
厳しい自然と共存する漁師町には、自然とたくましさ溢れる気風が育まれていきました。そのような気風がもたらしたものに相撲があります。
江戸時代の因幡地方では相撲が盛んでした。賀露神社でも「勧進相撲」「八朔相撲」「出世相撲」などと称して多くの青年力士が相撲をとっており、国内各地から多くの見物客が集まったといわれています。
その風潮は戦前まで続いており、現在も県内各地に力士を顕彰する力士塚が建てられています。賀露においても東善寺付近を中心に「山野井鷲之助」「大和川徳五郎」「響灘作五郎」など計17基の力士塚がみられます。
大勢の見物客であふれる賀露神社の宮相撲の様子(昭和はじめ頃)
勧進相撲の名残は戦後までみられ、賀露神社では地元の青年力士による奉納相撲が秋の祭礼日に合わせて行われていました。昭和30年代後半からは、青年力士の減少により、小学生による「出世相撲」が行われるようになりました。
平成元年からは小学生の相撲大会とともに、1歳前後の赤ちゃんが参加する「赤ちゃん泣き相撲」が開催されるようになりました。これは生後1歳前後の赤ちゃんが、赤い金太郎の腹巻きと豆絞りのはちまき姿で壮年力士に抱かれて土俵上で対面するもので、「神様に早く声が届く」ということから「先に泣いたほうが勝ち!」という全国でも珍しい行事です。
毎年、県内外からたくさんの参加者があり、赤ちゃんの元気な泣き声が秋空に響き渡っています。